第1章 1
フランス パリ
綺麗な三日月。
良かったね。綺麗な夜だよ。
私が貴方を愛してしまったばかりに
貴方の命が運命が
本当はもっと長く生きて欲しかった。
好きで1人になるはずないでしょ。
貴方と過ごした20年間。
私にとってはあっという間。瞬きの間に過ぎていった。
貴方はどうだった?
初めて出会った時
貴方はまだ10才になったばかりの子供だったね。
わかっていたの。貴方の運命を変えてしまうと。
本当は貴方の命が正しく終わるその時まで
遠くから見ているだけのつもりだった。
でも貴方が私を見つけたから…
私は貴方から離れられなくなってしまった。
愛してしまってごめんなさい。
月明かりで灰になって消えてしまったあなた。
願わくば、どうか…
この綺麗な月が…貴方の進む方向を見失わぬよう照らしてくれますように
そしてどうか…私も共に
この命を終わらせて。