第6章 6
あの満月の夜から日々は過ぎ
このお屋敷にも随分と慣れてきた。
アーサーさんとはあの晩以降、少しだけ仲良くなった。
同じ痛みを持つもの同士、自然と一緒に居ることが増えた。
私は相変わらず彼を愛しているし、アーサーさんも少女を愛している。
少し変わったのは、アーサーさんがルージュを口にするようになったこと。
そして…私は自分の正体を皆にも打ち明けた。
サキュバスだと名乗った時はどんな反応が来るか少し不安だった。
しかし屋敷の人達は特に驚くことも無く、拍子抜けしたことを覚えている。
あとは…このお屋敷のお手伝いを始めたこと。
人間であるセバスチャンと長い時間一緒に居る訳にはいかないため、仕事の分担を決めて働いている。
私は…お屋敷の皆さんのお手伝い、セバスチャンは家事全般。
モーツァルトさんの曲を聴いて感想を述べたり…フィンセントさんの絵のモデルをしたり…
小さなことだけど、必要とされているのが嬉しかった。
……