第6章 交渉の行方
王子(仮)が見事ストーカーを撃退し、私たちは家の中へ戻った。
ストーカー問題は解消したが…
「さて、ストーカーとやらを退治したのだ。約束は果たしてもらうぞ?」
『うっ…。』
ストーカー退治を協力する代わりに、私の家に置けという交換条件。協力どころか完全に王子(仮)のおかげで退治できたわけで…拒否するわけにもいかない。
ここは腹を括るしかない。
『…わかりました。』
「やっと承諾したか。まあ、これで一安心だな。」
『ただ、一つだけ条件を付けさせてください。』
「条件?まあ、聞くだけ聞いてやる。」
この…
王子(仮)の言い方にムカつきながらも続けて話す。
『タイムリミットは1年です。1年間だけはあなたをここに置きましょう。ですが、それ以降はできません。』
「ほう。恩人に対しても制限をつけるのだな?」
『これは、私が嫌だからという訳ではありません。あなたが異世界の王子というのならば、この国に、世界に籍がないことになります。そんな人を長く置いておくことはできませんし、それまでに帰る方法がなければあなたが不自由になるだけです。』
これはあくまで事実に基づいた意見。
それに、恩人は恩人だけど、衣食住を1年間保証するんだからかなり条件いいぞこの野郎。