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荒野に咲く一輪の花【進撃の巨人】

第2章 悔いなき選択 (前編)



トドメにその男の腹に蹴りを入れ、階段から突き落とす。


「ぐあぁッ………!!」

「あーあ、ダメなんだよ。ウチは清潔第一だからさ。手洗って出直しなよ」


下で他の奴に受け止められた男は気絶していた。


「コイツらやべぇ……、行くぞ!」


返り討ちにされた哀れな男達が情けなく去っていく姿を2人で見送る。



『……、おい。いつまで懐に抱えてるつもりだ』

「……、へっ?」

『死んじまうだろうが』


私はコイツが立ち上がろうとした時、抱え込んだ両手の中に布に包まれた鳥がいるのを見ていた。


「あ……、だって!あったかいと思って……!」

「どうしたんだ、鳥なんて……」

「迷い込んでたんだ。多分、通風孔から。だから、地上に出してやろうと思ってさ……、」


少女は手のひらに収まっている小鳥を眺めて優しい表情を浮かべる。


「お前……、まさか。その為だけに階段を突破しようとしてたのか……?」


ファーランが驚くのにも無理はない。

この地下街では誰もが自分が生きてく事だけに必死だ。

裕福な暮らしが出来る奴ら以外は他人の為に何かしてやる、なんて事そうそう考える余裕などないだろう。

裕福な暮らしが出来ている奴らでさえ、殆ど自分の利益しか考えないのだから。

ましてや何の見返りも期待出来ない只の生き物の為に、何てこのガキは、相当なバカか……、変人か……?

だが、悪くはない……。


「コイツだって、地下街なんかより空、飛びたいだろ?」

「それは良いが……、コイツ羽痛めてるぞ」

「えっ……?マジでっ⁈」


そして、そんなガキを助けちまった私もファーランもコイツと同類という事か……。

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