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荒野に咲く一輪の花【進撃の巨人】

第4章 最後の希望 (閑話)



「確かに、我々兵士の中にはそのような志しを持って入団した者は沢山いる。だが、全ての者が同じ志しを持っているわけではない。1番内地で安全な場所で働ける憲兵団、そこに入る目的で兵士を志願する者も多い。だが私はその者達を咎めたりはしない。誰も死にたくなど無い、当然だろう……。人類の反撃の為、調査兵団に憧れ入った者でさえ、壁外で目の当たりにした世界の残酷さに失望する者が殆どだ。それでも自分を奮い立たせ、人類の繁栄を願い、剣を掲げて散っていく。誰かがやらなければ、自分がやならければ、只々人類は滅亡するだけだろう」

「……、」

「何かを変える事が出来るのは"何かを捨てる事が出来る者"だけだ」


それが他人の命であっても。

それが自分の命であっても。


エルヴィンはロドリーそう吐き捨てた。


「いいね、そーゆうの。僕には一生言えないなー……、はぁ……」


ロドリーは片膝を立てて床に座り直すと静かに語り始めた。


「僕はね、"自由"になりたかったんだ。」

「……?」

「僕の父さん、リゲル・ガナードはガナード家の血を引いていないんだ。ガナード家の血を引いてるのは僕の母さん、フェリア・ガナード。僕の母さんは生まれつき体が弱くて、僕が6歳の時に亡くなってしまった。でもそんな母さんは毎日、僕に夢のような話を聞かせてくれてたんだ……」


























「ねぇ、ははうえ!またあのごほんとおはなしをきかせて……!」

「良いわよ、ロディ。こっちへおいで……。同じ話なのに、ロディは本当に海が好きなのね……」


喜びを隠せないロドリーはフェリアの膝元に座る。


「ほら、これが海よ。この海は青くて地平線の彼方まで広がっていると言われているの」

「うみ!うみ……!」

「えぇ、そう海よ……。そしてこの海の向こう側には「"コンコン"」……、どなたかしら……?」


フェリアは急いで布団の中へとその本を隠すと、何もないように装う。

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