第2章 悔いなき選択 (前編)
屈辱だった……、
リヴァイは顔半分を泥水に浸しながら男を睨みつける。
「もう一度聞こう、立体起動を何処で学んだ?」
このまま続けても一生口を割らなさそうなリヴァイがこれ以上屈辱を味合わされる姿を見ていられなくなったファーランが口を割る。
「誰にも習ってない!独学だっ!」
「独学だと……?信じられんな」
「この薄暗いゴミ溜めから少しでも浮き上がるために身につけたんだ……!光が当たって当然のお前らには分からないだろうな!」
「いいから、兄貴から手を離せッ!!兵士だからって威張ってんじゃねぇよ!!」
そしてようやく後ろの男がリヴァイの顔を泥水から上げさせる。
すると、リーダー格の男は泥水の中で片膝をついた。
「私の名は、エルヴィン・スミス。……、お前の名は?」
エルヴィン……、スミス……。
それがテメェの名前か。
『……、リヴァイ』
「リヴァイ、私と取り引きしないか?」
『取り引き……?』
この後に及んで私達と取り引きだと……?
何なんだ、この男は?
何を企んでやがる……?
「君達の罪は問わない、代わりに力を貸せ」
何を……、言ってやがる……。
「調査兵団に入団するのだ」
『断ったら……?』
「憲兵団に引き渡す。これまでの罪を考えれば、お前は元より、お前の仲間もまともな扱いは望めないだろう」
「好きな方を選べ」
エルヴィン、といったか。
お前の名前も、顔もちゃんと私の目に焼き付けといてやる。
中々に賢そうな男だがな、
『いいだろう、調査兵団に入ってやる』
エルヴィン・スミス、テメェは絶対私が…………、殺すッ!!