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テニスの王子様*短編集

第1章 ふわふわオムレツ【菊丸英二】





もう一口分のオムレツをスプーンで掬い上げ、自らの口に運ぶ。その様子を、次は微笑ましく見詰めてしまう。
何だか、今この瞬間だけは…夫婦になったみたい。なんて、自己満足な妄想を内心呟いてみる。



菊丸「ん~~っ、美味しいにゃあ!!」


名前「本当?良かった…英二の口に合わなかったらどうしようかと思ってたんだー」



満面の笑みを浮かべてオムレツを堪能した後、エビピラフとサラダも同じく口に運んでは、美味しい美味しいと言って食べてくれた。
そんな彼の様子に気が弛んでしまったのだろう、私は不安だった心境をぽつりと零してしまった。

すると、きょとんと目を丸めた英二が此方を向く。その屈託の無い二つの瞳と目が合い、私は逃げ出してしまいたい程の居心地の悪さに眉が下がる。
不意にその瞳が閉じられ、屈託の無い…明るく柔らかい笑みへと変わっていった。そんな英二の笑顔に、私は思わず見惚れてしまう。



菊丸「いつか俺達が大人になったら…名前ちゃんを俺の奥さんだって、胸を張って言いたいな…にゃんて」



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