第10章 現れた幼馴染み
〜 迅side 〜
ーー 朝霧家・玄関
迅「すみませ〜ん!どなたかいらっしゃいませんか!?朝霧さん!!」
学校から急いでバイクを走らせて蓮の家へ飛んできたオレは、家の前に立ち何度も呼鈴を鳴らす。
だがなんの反応も無い。
迅「蓮、居たら返事してくれ!!蓮!!」
近所迷惑になるのもお構い無しにドアをドンドンと叩き、大声で何度も蓮の名を呼ぶが、やはり反応が無い。
仕方無くその場を立ち去り、元来た道をトボトボと歩く。
迅「蓮…何処行っちまったんだよ……帰ってきてくれよ……」(ズズッ
目頭が熱くなり、涙が流れる。
鼻を啜って目元を服の袖で乱暴に拭う。
迅「はあ…どうすっかな……今更学校戻っても先公と瑠花にドヤされるよなぁ……。よし、彼処に行くか」
思い立ったオレは先程来た道とは少し外れた所にある木が生い茂った脇道に入った。
暫く進むと、海が良く見える崖に辿り着いた。
迅「此処に来んのも久しぶりだな〜。最近は生徒会の仕事が忙しくて遊ぶ暇さえなかったもんな〜」
なんて一人でブツブツ言って木に背中を預ける。
迅「蓮、早く帰って来い…。またみんなで…この景色見ようぜ……?」
何処にいるのか分からない蓮に向けて呟く。
すると、崖下に何やら光る物が見えた。
迅「ん?何だ?」
気になって覗き込む。
それは空中に穴が空いている様な感じで、穴の中が白く光っていてまるでホワイトホールの様な物だった。
迅「な、何だありゃ?」
ズザッ
迅「…え?」(汗
覗き込み過ぎたのか、オレは足を滑らせてそのまま下に落ちる。
迅「わあああああっ!!」
オレはその光の穴目掛けて真っ逆さまに落ちていった。
中に入ると穴は閉じ、オレの意識もそこで途絶えた。