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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第8章 再び


朝、色々を済ませた後、ふみさんに秀吉さんあたりにお話がしたいと伝言を頼んだ。

「椿、なんか秀吉さんに用事あんの?」

「うん、信長様に取り次いでもらいたくて」

信長様、と私がいうと絢は驚いた顔をした。

「褒美、決めたの?」

「うん」

「早っ!さすが椿」

絢は感心した様子で問題集を解いていた手を止める。

戦国時代に来たというのに数学の問題集を解いて過ごすっていうのも

「なかなかにレアな風景だね」

上から私の考えていることが聞こえてきた。

「ほんとに。……え?」

いや待って、私誰に返事した…?

私がそんなことを考えていると上からコンコンとノックが聞こえてきた。

「絢さん、椿さん、おはよう。佐助です」

「「お、おはようございます」」

「入ってもいい?」

「もちろんです、どうぞ」

私がそう答えると部屋の端の方の天井板がスライドして佐助さんが顔をひょっこり出して「やあ」と言って天井から飛び降りた。

「この前は途中で帰っちゃってごめん」

「いえいえ、バレたら不味いんですよね」

「そうだね。だし、忍が姫の部屋にいるって不穏でしょ?」

そう言って佐助さんは真顔でウィンクをした。

((表情筋が仕事してないってこういうことか))

私達は心のなかで納得する。

「君たち城下に来れる?俺がいれば襲われないし話をまた中断させたくないし」

「今信長様に許可をいただくために取り次いでもらっているところなんです」

「そうだったのか!じゃあ上で待ってるから行けそうだったら先に向かってるから何かしら合図をくれる?」

「「わかりました」」

私たちが返事をすると、「よろしく。じゃあこれにてドロン」と言って佐助さんは天井に消えた。
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