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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第4章 城下


男の人がするりと刀を鞘にしまう。

(いつ出てきていつ刀抜いていつボスらしき人を倒したんだこの人…!)

男の人は眉をひそめて言った。

「騒がしい。…酒が不味くなるだろう」

それを聞いた取り巻きがいきり立って言った。

「な、何だと貴様ぁ!」

「言わせておけば好き勝手言いやがってよぉ!」

「不意討ちで勝った気になってんのかぁ?」

取り巻き達が刀を構える。
だが男の人は一向に動じていない。

…それどころか、唇は弧を描いていた。

(この人、笑ってる…?!)

私がそう思った瞬間、一瞬、体が得体の知れない恐怖に覆われて動けなくなった。

周りの人も同じらしく、皆の顔に驚きと恐怖の色が浮かんでいた。

だが、それは気のせいだと思ってしまうくらい一瞬の出来事だった。

「不意討ちでなければ、良いのだな?」

男の人がそう言い終わるや否や一人目を地面に伏した。

「くそっ」

「こっちはまだ三人いるだろ!?残念だったなぁ、一斉にやられたらひとたまりもないぜ?」

それを聞いて男の人はふん、と鼻で笑った。

「何人で来ようが変わらん。お前らの太刀筋は甘い」

「何だと?!」

取り巻き達が一斉に男の人に切りかかった。

(無理だ、やられる…!)

私が目を瞑った瞬間、

─カラン、

何かが地面に落ちる音がした。
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