• テキストサイズ

〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第9章 褒美


女中さんが置いておいてくれた水を一気に飲みほす。

(しんど…)

中1の頃の基礎トレ並みにきつい。
いや基礎トレなんだろうけど。

手がじんじんするし汗はめちゃくちゃかいてるしもう最悪である。

こっそり持ってきた腕時計を見ると10時を指していた。


「休憩中か?」

(秀吉さん?!いつの間に…)

「…ちょっと疲れちゃて」


私は座ったままえへへと笑った。
ほんとは立った方がいいんだろうけどそんな元気は本当にない。


「信長様にどういう課題を出して頂いたんだ?」

「素振り1000回、です」


秀吉さんは目を丸くして言った。


「1000回?今日始めたばかりじゃなかったのか?」

「うん」


秀吉さんは少しの間じっと私の目を見たあと私の頭をぽんと叩いて言った。


「頑張れよ」

「はーい!」


私がそう返事すると秀吉さんは笑顔で頷いてじゃあなと言い道場を去っていった。

(お昼まであと300回振るか…。頑張ろ)

私は再び木刀を握った。



・──・




そのあともちょっとずつ休みながら何とか回数をこなしていっていた。


「487、…488」


さっき400回の時点で休憩をいれたときは11時半くらいだった。
500回いく頃にはお昼の時間になっているだろう。


「…499、…500!!!!!!」


私は木刀をからんと置き道場の床に寝そべる。

(疲れた……あと半分もあるんだ…)

上体だけ気合いで起こしてストレッチをする。
予想通り体はバキバキだった。


「おっ、昼休憩か?」


すぱんと襖を開けて入ってきたのは政宗だった。


「半分いったから」

「そうか、お疲れさん。なんか腹に入れるか?」


そう言って政宗はにっと笑った。


「食べたい」


あまりにも疲れすぎた私の口から飛び出した言葉はその一言だけだった。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp