第9章 違和感
雪は顔を赤くしたままそう言った。
「あぁ、俺は絶対、雪を手に入れる。覚悟をしていてくれ。」
『うん…?』
恥ずかしそうな、よく分かっていないような、そんな表情だった。
でも俺は、他の奴にも負けたくない。
バレーも、恋も。
「じゃあ、戻ろう。みんなにも心配されてると思うぞ。」
手を差し出す。
『ま、まだ恋人じゃないので、手は繋ぎませんよ。』
「まだって事はその内って解釈をするぞ。」
と、今はまだ、寂しい左手を引っ込めた。
少しだけでもいい。意識をしてくれたら。
最初はまだ、これでいい。
いつか俺だけに向けられる笑顔があれば。