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薬屋の譫言

第3章 家族


山で拾われ
あれよあれよと言う間に
連れて来られた場所は花街の一角
あばら屋が立ち並ぶ其処に
猫猫大姐と羅門大叔が暮らす薬屋があった

「いいかい、娘娘。今日から此処がお前の家だよ。わたしたちは家族だ、いいね?」
『…わかった』
「見ての通り寂れてるが、薬屋を営んでいてね。娘娘にも手伝ってもらいたい。できるかい?」
『うん、手伝う』

今の見た目はどっからどう見ても女児だが、前世では祖父の薬屋で短い間だけだが働いていたのだ
この体で苦労することはあっても、知識や経験は活かせるかもしれない

久々に薬に携われるとうきうきしていたら、視線を感じた

『大猫…?』
「多少わかりづらいが、お前もそんな楽しげな目をするんだな(ニヤリ」

…こちらでの両親…元両親からは表情がわかりづらいとよく怒られた
何を考えているのかわからず不気味だと
そういえば、大猫も羅門大叔もそういう事は言わないな…不気味じゃないのだろうか、こんな感情に乏しい子供を

と考えていたら気づけば頬が濡れていた
流れる涙を袖口で拭おうとしたら手首を掴まれた

「するんじゃないよ。目が腫れる」
『ん…』
「…気に触るような事言ったんならごめん。でも感情がわかりづらいことはこの家では大したもんじゃないから気にするな」
『ぅう〜、大猫…!』
「おい…!」

大猫に抱きついて、そのまま額をぐりぐりと擦り付けるようにして甘えた
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