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嫉妬は最大の愛情表現

第1章 1


川島は面白くなかった。

最近お嬢様が、ある俳優にはまっているらしい。

時折、その俳優が載っている雑誌や映像を部屋で眺めながら、微笑んでいる姿を見かける。

お嬢様が留守中にその雑誌や映像をこっそり見てみる。

顔や声、雰囲気などが川島にそっくりだった。

手鏡を片手にグラビアと自分の顔を見比べてみる。

見れば見るほど顔の造作が似通っていた。一卵性の双子といわれてもおかしくないほどだ。

だからこそ川島は面白くなかった。

「オレの方が脚も腕も長いし背も高いのに、なんでお嬢様はこんなやつがすきなんだ?」

無意識にひとりごちた。なぜだか無性にイライラする。
手にしている雑誌の、つるりとした紙の感触さえ神経に障る。

それだけじゃない。

お嬢様はその俳優がヘアスタイルを変えるたびに、なにかにつけて同じアレンジを自分にほどこそうとする。

それも気に入らない。

お嬢様に髪を触られるのは、すきだし嬉しい。

だが、この俳優に似せようとしてやってるいなら……複雑に思う。

川島は持っていた雑誌を空中でゆっくり振り回した。

「なんで、こんなのが」

そのまま雑誌をテーブルに叩きつけようとして思いとどまる。

ダメだ。お嬢様の大切なものだ、これは。
本音では燃やしてしまいたい。

小憎らしい雑誌を書棚にそっと戻した。


そのあと家事や書類仕事をするも、あの俳優のことが気になり心が定まらない。

お嬢様の心の中に、なぜか自分に瓜二つな他の男が入り込んでいる。

「なぜですか、お嬢様……」

川島は霧の中をさまよい歩いているような気持ちで日中を過ごした。


夜になり、お嬢様が帰宅した。

今日は迎えはいい、といわれていたので邸(やしき)で待っていた。

お嬢様の軽やかな声を聞きながら、荷物を受け取っていた川島は凍りついた。

「――今、なんとおっしゃいましたか?」

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