• テキストサイズ

キミのとなりで【気象系BL】

第4章 日常



「翔助けて!宿題忘れた!」

少しずつ騒がしくなってきた教室。

クラスメイトの生田くんが駆け込んでくるなり翔ちゃんに泣きついてきた。

「またかよ!もう諦めて怒られろ!」
「そんなこと言わずにさぁ」

冷たく突き放す翔ちゃんに、生田くんが必死に手を合わせる。

けっこうな頻度で目にする光景に笑いがこみ上げてくる。

「懲りないね、斗真も」
「本当に」

近くにいた滝沢くんや今井くんも面白そうに見てる。

みんな持ち上がり組で翔ちゃんや潤くんと仲が良い。

俺には関係ないと傍観者気分でいたら

「もう、いいよ!ニノに見せてもらうから!」

生田くんが翔ちゃんから俺の方へ顔を向けた。

突然矛先がこちらに向いたようだ。

「おい、こら!カズを巻き込むな!」
「ニノ、ニノは助けてくれるだろ?」

文句を言う翔ちゃんを無視して、生田くんは俺の手を両手で握る。

「え···うん、いいけど···」

ノート見せるくらい別にいいんだけど、この状態にどんな反応したらいいか分からなくてちょっと困る。

戸惑って握られた手をそのままにしてたら

「馴れ馴れしくカズに触んな!!」

翔ちゃんがバシッと生田くんの頭をはたいた。

「痛っ!心の狭い男は嫌われるぞ···」

生田くんは頭を押さえながら恨めしそうに翔ちゃんを見たけど、その手にノートが握られてるのに気付くと

「ウソ!ウソウソ!」

態度を一変させた。

「翔は優しい!すごーく優しい!な、ニノ?」
「あはは!うん、翔ちゃんはすごーく優しいよ」

必死に取り繕う生田くんが可笑しくてみんなと一緒に笑っちゃったけど、翔ちゃんが優しいのは本当だもんね。

翔ちゃんはなんとも言えない顔してたけど

「急いで写せよ」

なんて言いながらちゃんとノートを貸してあげてる。

ほら、やっぱり翔ちゃんは優しい。

みんなに優しいんだ。

俺にだけじゃない···

そんな当たり前のことが頭をよぎって、ちょっとだけ胸がちくっとした。

/ 803ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp