• テキストサイズ

キミのとなりで【気象系BL】

第2章 友だち



いつだって堂々としていた翔は、恋愛になるとかなりのヘタレだった。

好きな相手が同じクラスにいるというのに、話し掛けることすら出来ないらしい。

ただ見ているだけ。

クラスメイトだし、男同士だし、普通に話し掛けりゃいいのに。

翔は人見知りとは無縁の性格だし、誰とだって仲良くなれる。

それなのに、二宮が相手になると途端に出来ないらしい。

話し掛ければ?って言っても、出来ないと拗ねた顔をする。

そんな翔を見るのは初めてだった。



翔が好きになった相手が気になって、自然と俺も二宮を観察するようになっていた。

二宮は確かに可愛い顔をしている。

二宮といつも一緒にいる大野も、これまた可愛い容姿をしてるもんだから二人揃うと目立つ。

二宮と大野の名前と顔は、あっという間に学校中に知れ渡った。

でも本人たちは無自覚なようだった。

まさか自分たちが注目されているとは想像もしていないのだろう。

よく教室の隅でじゃれ合っている。

二宮は大野に対してスキンシップが多い。

大野はいつもされるがままだけど、その表情はどこか嬉しそうで。

しばらく見ているうちに気付いた。

たぶん大野は二宮を好きなんだろう。

大野が二宮を見る目に既視感があった。

それは俺が翔に向けるものと似ていて。

ああ、好きなんだろうなと思った。

そして、やっぱり自分の想いを相手に告げる気がないのも分かった。

俺たちは少し似ているかもしれない。

親友という誰よりも近い位置で
好きという気持ちを隠して側にいる。

俺は一度も話したことのない大野に、親近感がわくのを感じていた。

/ 803ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp