• テキストサイズ

【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第15章 〜山姥伝説 前編〜



「は……」


不思議そうに首を傾げ、髭切が風見にそう問いかける。それに思わず素っ頓狂な声で反応した風見だが、問う口ぶりが山姥伝説を信ずる故の聞き方だった。よくある地方の逸話だ、全て非現実的で鵜呑みにするのも何と馬鹿馬鹿しい。風見はその思考を誤魔化す事なく、立ち止まって隣を歩く髭切達を嘲笑った


「本気も何も、山姥なんてリアルに存在するわけがないでしょう。それに妖怪だとか、幽霊なんかの話も俄に信じがたい。犯人は人間以外にあり得ないし、村人達の話は全て眉唾物だ」

「うーん、犯人が人間なのは正しくそうなんだけどねえ…。生憎彼女達の話もある意味間違っちゃいないんだよ?君のその価値観も現実的だし否定しない、住人達の言葉も等しく尊重すべき価値観さ。要は捉え方の違いだからねぇ」

「捉え方?」


そう、きっぱりと山姥を拒絶しきった風見の現実主義さは、どちらも間違っていないと髭切によって断言された。あくまで否定ではなく、双方の主張を受け入れている様だ。この意見は他のメンバーも同じらしい。しかもその表情は「仕方ない」と聞こえそうな困り顔で、思わず風見が先程までの怒りや嫌悪感を捨てて理解を求める為に聞き返す。するとその疑問に答えたのは、麻衣の背後を守る山姥切国だ。(因みに風見の真横を髭切、その隣に麻衣を挟んで五虎退が付き、背中を山姥切国広が警護している)


「……別に難しく考える事じゃない。山姥は巫女が山で人間を襲って、鬼に変わり果てた存在。つまり簡単に言えば、心身共に人間の道を踏み外した愚者になるわけだ。……この際、逸話の真偽は抜きで考えろ。確かに、人外的な化け物なんて信じられんだろう。しかし日本語には『鬼のような形相』という例え言葉がある」

「え、ええ…。まぁそうですが、一体何の関係が…?」

「ああ。この例えは一時的でも、人間相手に鬼じゃないかと認識しかけた事情を意味する。これが捉え方の価値観。個人によって大きく変化する大切な事象だ。要するに、この事件は人間が起こした事に違いないが、『血塗れになった人間が山で惨殺死体と共にある』その姿…。まさに山姥として比喩されたとて仕方ないんだ」

「なっ?!」


思わず愕然となった。彼のその理論はあまりに突飛すぎるのだ。しかし何故だろう、妙な説得力を感じる言葉故に反論できる言葉が一つも見つからなかった───
/ 325ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp