第8章 翠の君は、君を見る。
蒼:きゅう〜
扇で扇いでるけれど、蒼は今だに目を回していた。
今は大人しく日番谷隊長の腕の中にいる。
日番谷:コイツ本当に大丈夫か?
その言葉に、日番谷隊長は蒼を見つめている。
うーん。こうなったらどうして良いか分からないし
「あれ、珍しいっすね。日番谷隊長がこんな場所にいるなんて」
その声に私は背後を振り向いたのだった。
赤い髪がよくわかる死縛装の彼がいた。
日番谷:阿散井か、別にいいだろ
蒼は「きゅう〜」どうなり、日番谷隊長の頭の上に居座る。
恋次:なんっすか?コイツ
阿散井は、俺の頭にいた蒼を掴み取ると睨み付ける。
蒼は今だに具合が悪いのか、かなり潤んでやがる。
蒼:きゅう〜
阿散井が渋い顔をするが、手放すつもりはないらしい。
流石につらいのか、仕方なく溜め息を吐いて俺は蒼を受け取った。
澪:うーん、何か相当駄目っぽいな蒼
阿散井が俺の側にいる澪に気付いたのか澪を見つめた。元々側にいたんだが、あまり意識してなかったらしい。
阿散井:こいつ模擬戦していた奴ですよね。本当に十番隊配属になったのかよ
そういや、阿散井もあの場にいて見ていたのか。
隊長達が幾人かいたのは記憶にあるが
日番谷:総隊長の命令だからな
阿散井はその言葉に、「またいきなりですね」と告げて澪を見つめる。
澪:始めまして、澪です。
その言葉に阿散井は自己紹介をして俺を見つめる。
いつもいる松本が居ないのだから確かに不思議な光景だろうが
日番谷:まぁ、少し周ってるだけだ。
本当は、日用品買いに来ただけだがな
澪とまさか同室を爺さんから命じられてる以上は、手薄になる訳にも行かないだろうしな
阿散井:まぁ、新入りが卍解使えるのには正直驚いたけどな
阿散井は、好機の目で澪を見つめる。
澪は冷や汗をかきながら、乾いた笑いをした。
澪:わ、忘れてください。
忘れて下さいか、忘れられる訳がない。
あの卍解は確かに俺の系統と全く似て居た。
ただ違うとすれば炎系ということだけ、ただ、斬魄刀が似ることなどあるのか疑問だ。