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イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編

第2章 大人になった君


夜。
天主で一人、晩酌をする信長。
辺りはしーんとしていたが、信長の耳はごく小さな足音をとらえていた。

(...来たか)

その小さな足音は信長の思惑通り、天主の入り口で止まる。

「...ふっ」

天主の入り口へと目線を投げかければ、真っ白な狐の尻尾が柱の陰から見えている。どうやら、本人は上手く隠れているつもりらしい。
思わず信長は笑ってしまった。

「...雪月、」
「!」
「ここへ来い」

まさかバレているとは思ってなかったらしい雪月が驚いた表情で顔を出した。
そのまま少し戸惑った様子を見せたが、そのうちぽてぽてと足音をたてて信長の側まで歩いてきた。

「どうした?眠れぬのか?」

雪月を胡座の上に乗せながら信長が聞いた。

「...にいしゃま、」
「なんだ?」
「いっしょ、ねても、いい...?」

信長の着物の袖を遠慮がちに掴み、上目遣いで見上げてくる雪月。

(全く、可愛らしい奴め)

信長は雪月の頭を一撫ですると、抱っこしながら立ち上がった。

「雪月、寝るぞ」
「あい!」

抱きしめたまま布団に横になれば、更にくっついてくる雪月。元々眠かったらしく、すぐに小さく寝息をたてて寝てしまった。

「おやすみ雪月、良い夢を」

最愛の妹の頬にキスをし、小さくも暖かな身体を抱きしめながら信長も目を閉じた。











...と、昨夜の信長の記憶はそこで終わっている。
雪月の体温は若干低いとはいえ、子ども体温であることに変わりはなく、睡眠安定剤のような存在だった。
だから、普段眠りの浅い信長もぐっすり。途中で起きることもない。
だから、気づけば思いっきり寝過ごしてて驚いた、なんてことはざらにあった。

しかし、今日は違う意味で驚くことになる。

「......」

目が覚めた信長の目の前に有るのは雪月の真っ白な狐の耳。ここまでは何時も通り。
...じゃあ、その下は?
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