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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


フライトの最中にさつきと美緒に連絡を入れた。あの事を黙っていてさつきたちとの仕事に影響が出ることも、大我が言ったみたいにあの時と同じことが起きるのもどっちも嫌だった。


(今から東京に戻るんだけど戻ったら話したいことあって、うちに来てもらえると嬉しいんだけど予定どうかな?)

東京に戻ることで物理的に佐伯さんとの距離が近くなることに嫌な感じはするものの戻らないって選択肢はない。

3日間北海道にいたせいか若干の恐怖心はあっても行きの時に感じていたようなどうしようもない恐怖は感じなかった。

着陸直前にメッセージを確認するとさつきから返信が入ってた。

(今日仕事終わったら美緒と行くね。あたしも渡したいものあるから!あたしたちが行くまでお家で大人しくしててね♡)

何それ(笑)
でも元々家から出る予定もないしいいんだけど

(夕飯どうする?)

(今日大ちゃん試合だから見たいでしょ?買ってく)

さすがさつき…あたしのことはお見通しなのね。
でもケーキだけは買って行こ。北海道に行く前もお金払ってないし今日は絶対買う。


空港に降りて黄瀬君たちと別れてから駐車場で自分の車に乗って紫原さんのお店に向かった。


「いらっしゃいませ。今日も食べていきますか?」ってすっかり顔を覚えてくれたのかにっこりと笑ってくれる。

「今日は持ち帰ります」って笑い返してケーキを選ぶ。

「ティラミスとチーズケーキとガトーショコラでお願いします」

「チーズケーキどっちがいいですか?」

レアチーズケーキとベイクドチーズケーキがあって、真っ白なレアチーズケーキには“マンハッタンの恋”って名前がついてた。

「マンハッタンの恋で」って言ったけどなんかすっごい恥ずかしい。
それに今日は試合があるから電話することになってて余計に青峰君を思い出させられた。

「いつもありがとね~」って紫原さんとケーキを詰めてくれた子に見送られて店を出た。


帰宅してから部屋を少し掃除して二人が来るのを待っていたら予想よりも早くインターホンが鳴ってモニターに二人が写っていた。

え?定時5時だよね?
今5時なんですけど…

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