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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


明け方からの撮影に向けてまだ暗いうちにベッドを出てバスタブに熱めのお湯をためて温まることにした。

昨日の吐き気はもう治まって、対処療法で思考と感情が落ち着いたのと、今は北海道にいるから佐伯さんと会うことはないって自覚できて、仕事モードにきちんと切り替えができたことにホッとした。

お風呂から出て温かいインナーを2枚重ねで着て、温かいデニムを履いて上だけは動きやすい服装を選んだ。

取り敢えず黄瀬君に連絡をしないと。

(昨日は本当にありがとうございました。すっかり元気になりましたので予定通りお部屋にメイクにお伺いします)

撮影現場まではロケバスが出て、あたしもそれに乗って一緒に移動させてもらうことになってるけどメイクのベースだけはホテルで済ませたい。
スノーダストを使った撮影だからメイク直しは必須で外に出ないといけないから完全防備で行く。

まぁロケバスがあるから待ち時間は多分そんなに寒くはないだろうけど、到着してから寒さに震えるのは避けたい。


全ての仕事道具を持って、さつきと美緒がくれたマフラーとダウンと帽子を持って、ムートンブーツを履いて、黄瀬君の部屋に行ってチャイムを鳴らすとマネージャーさんが出てきてくれた。

「おはようございます」

「おはようございます。黄瀬も起きてるんでどうぞ」って中に入れてくれた。

「みさきっちおはよ。顔色よくなったッスね」

「ご迷惑おかけしました。今日は元気です!」

黄瀬君に鏡の前に座ってもらってヘアメイクのベースを作ってロケバスで撮影現場まで移動した。

道中、雪がすごいなんて思ってたけど撮影現場はもっとすごい雪だった。

あたしの膝まで雪があるし、道路は雪の壁ができてる…

なにこれ…本気で天変地異なんですけど
しかも寒すぎ!!!!

雪との兼ね合いを見ながら黄瀬君のメイクを完成させてから足跡一つないところで日の出を待って雪を巻き上げてスノーダストを作る。

日の出はすぐに終わってしまうから撮ったらすぐにチェックをして、その間にメイクを直しておいた。

もう1回撮影をしてそのカットの撮影を終えて、雪濡れてしまった黄瀬君の髪を乾かして、セットをし直して次のカットに臨む。



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