第7章 近づく距離
ホテルに戻ってみさきを一人で部屋に帰すのが心配で、俺の部屋に戻ってきたら自分から泊まるって言い出してくれて逆に安心した。
一緒に旅行とかもしてるしもう泊り慣れてて理性との戦いもほぼねぇから、俺が理性と戦ってみさきの安全が保障されるならそれでいい。
なんてかっこつけたけど……
さすがに気にはなった
みさきはガキの頃から静かに寝るし、寝顔がすげぇ可愛いから頬とかつつきたくなっちまう。
抱きたいとかそういうんじゃなくて、とにかく寝てるとこが可愛い。
つついたときにくすぐったそうにしたり笑ったりすんのも結構可愛くて、たまにやっちまうけど今日は我慢しとくか…
なんか青峰にバレそうなんだよな…
あいつすげぇ勘が冴えまくっててマジで怖えーし、独占欲が尋常じゃねぇから下手なことして知られてケンカになりたくねぇ。
ふたりが付き合ってねぇとはいえ、俺はお互いの気持ちを知ってんだから、上手くいく手助けはしても波風立てるようなことしたくねぇ。
青峰は女相手に独占欲を出すことは今までなかったけど、ネロに対するそれはかなりのもんがある。
女がいきなり連れてきた犬だったけど、あいつは最初からネロを誰よりも大事にしてる。
シーズンオフで仕事が被った時、女は犬を連れてきただけで全く見てやらねぇからって撮影現場にまだ子犬だったネロを連れてきて、場所見知りしてるネロをずっと抱いてた。
撮影用の服に毛が着くってスタイリストに言われて、あいつのエージェントのライアンがネロを抱こうとしたら、すげぇ嫌々渡して、撮影終わると同時に服をすぐさま着替えてネロを返せってエージェントに言ってた。
あいつの大切なものへの独占欲は相当だ。
安心したように寝るみさきを見て俺もベッドに入った。
けど疲れてんのに寝れねぇ…
みさきの事も気になるけど、明日の撮影が不安でしょうがねぇ。
セキュリティにもみさきを見ろっていうつもりではいるけど、みさきは色々動き回るし撮影の時は俺もみさきは見てられねぇ。
頼むから…おかしなことは起きないでくれ…
次々と浮かぶ最悪のシナリオを何度も振り払って何とか眠りについたのは既に日付が変わった後だった。