第19章 甘い時間
寝ちゃってる…
背中側のマッサージと保湿だけを終えて冷えないように大きめのタオルケットをかけて隣に入り込むと端正な顔立ちがすぐ近くにある。
切れ長の目は実は二重
隠しながらだったけど手術の時あたしの為に泣いてくれたこと、ずっとずっと忘れない
それがあたしの為に流してくれてるんだって思うと悲しくて…でも愛してるって言葉が嘘じゃないんだって実感して、泣かせてしまったのに嬉しかった
高い鼻は骨ばってて真っ直ぐで、いつもあたしの鼻をちょんちょんってしてくれる
猫とする鼻合わせにちょっと似てるけどこんなかっこいい人と鼻合わせできるなんて本当にあたしは幸せ
コンプレックスの高すぎる鼻も青峰君と触れると嫌いじゃなくなる
薄めの唇はいつも優しくて心地のいいキスをしてくれる
触れた瞬間に体温が伝わってきて、愛情が流れ込んでくるような気がする。
大好きな人とするキスがこんなにもあったかくて幸せな行為だなんて今まで知らなかった。
蕩けそうなほど甘いキスを何度も何度もしてくれる
昼間でも夜でも時間さえあるならずっとキスしてたい
寝てるけどキスしてもいいかな?
起きちゃわないかな
でも、こんなに近くに大好きな人がいたらしたくなっちゃう
少し首を伸ばして薄くて温かい唇にそっと触れた
起きてない
もう少しだけ
一度離した唇にもう一度少しだけ長くキスをした
_______________ぎゅっ
「…みさき」
しまった…起こしちゃった
うつ伏せで顔だけがこっちを向いていた青峰君があたしの方に体を向けて抱きしめられて、名前を呼ばれたからてっきり起こしたんだと思って下を向くと、また規則正しい呼吸が聞こえてくる
あれ、寝てる?
起こさなくてよかった
相変わらずあたしをぎゅっと抱きしめたまま寝てる青峰君の胸に頭を預けて目を閉じた
お昼寝は昔から大好きだった
でも今はもっともっと好き
大好きな人の腕に抱きしめられて呼吸と心音を聞きながら眠りに落ちるのは、どんなヒーリングミュージックよりも心が安らいだ
ずっと一緒にいたい
ずっとずっとこの腕の中で眠れる権利が欲しい
好きすぎてどうしていいか分からない程の独占欲が、あたしを埋め尽くしていった
……あたしにもあなたしかいない