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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


「お前が忘れちまってても俺は覚えてるし、気持ちも変わんねぇ。けどお前がすぐに受け入れられなくて、俺と距離を置きてぇって思うならお前の思う様にしようと思ってる」


付き合ってる実感は全然ないし、自分がどうして突然意見を変えて青峰君と付き合おうと思ったのかも、あれ程隠したかった過去を話したのかも分からなかった。


だけど、あたしは青峰君を大好きで青峰君があたしを好きでいてくれるなら、距離を置いて欲しいなんて少しも思わなかった。

あたしが忘れちゃってることをもっともっと教えてほしかった。


「そんなこと…全然思わない。実感はないし全然現実だって思えないけど、離れるのは…ヤダ」


抱きしめられた腕に少し力が入って肩の辺りをギュっと抱きしめてくれた。


「肋骨治ったらちゃんと抱きしめさせろよ」

「…はい」


抱きしめられた体から伝わる体温は相変わらずあったかくて幸せだった。



そっと顎に添えられた手に逆らうことなく顔を上げると、青峰君の高い鼻があたしの鼻に触れて、目が合うと少しずつ距離が縮まっていく







この感覚…



覚えてる





そっと柔らかくて温かいものが唇に触れてそこから体温が伝わってくる。




温かくて…



優しくて…



愛しくて…






覚えてる中では初めてのはずなのに、どこかで感じたことのあるような気がするそのキスは






少しだけ懐かしいような…




ずっと探していたような…








不思議な感じがした。







「ほんとお前って可愛いな」


「っ‼……そういうのっ…ダメっ‼」


「ダメじゃねぇよ…」


おでこをくっつけたまま話す青峰君の声は低くて甘くて、全身の力が抜けてしまう。



優しく笑った青峰君が、もう一回キスをしてくれてそのまま抱きしめてもらってると、リビングの窓が開いて大我とハンナが入ってきた。



『なーに実家でイチャこいてんだよ。ばーか』

見られた…
恥ずかしすぎ…


『あ?別にいだろ。自分の女抱きしめて何が悪りぃんだよ』

『場所考えろよな』

『勝手に入ってくんなよな。ノックは常識だろ』

『いや、リビング入んのにノックしねぇから』



記憶はない。
でも確かに感じる体温が愛しくて堪らない
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