• テキストサイズ

夕立と花

第2章 知りたい


「今日もカラオケ行こー?」

「いいね、楽しそう〜」

「遊吾も来るでしょ?」

俺はいきなり話を振られ、動揺してしまった。

「え、あ、なんのことだっけ」

「カラオケだよカラオケ〜」

「あ、あー!…ごめん、今日は予定あってさ」

「うっわ珍しい」

珍しい、か。

実際、ほとんど誘いを断ったことなんてなかった。

俺はよく女子4人、男子3人のこのグループでつるんでいる。
このグループは気が楽で、楽しかった。
たぶん、傍から見ると、陽キャだとかチャラいとかいうイメージなんだろう。
俺は気にしていなかったし、むしろそれでいいと思っていた。

「なんだ、なんだ、遊吾もついにこれかぁ?」

ニヤニヤしながら小指を立てて聞いてくる。

「ばか、ちげーよ」

俺は軽めに否定する。

そうだと言えば嘘になるし、そうじゃないと言っても嘘になる。
そんな気がした。

俺は知りたかった。
あのときの、あの女の子が。

この学校の生徒には間違いない。

だけど、まだ学校で見かけたことがないのだ。

今日はその女の子を探そうと思っていた。
/ 7ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp