第2章 知りたい
「今日もカラオケ行こー?」
「いいね、楽しそう〜」
「遊吾も来るでしょ?」
俺はいきなり話を振られ、動揺してしまった。
「え、あ、なんのことだっけ」
「カラオケだよカラオケ〜」
「あ、あー!…ごめん、今日は予定あってさ」
「うっわ珍しい」
珍しい、か。
実際、ほとんど誘いを断ったことなんてなかった。
俺はよく女子4人、男子3人のこのグループでつるんでいる。
このグループは気が楽で、楽しかった。
たぶん、傍から見ると、陽キャだとかチャラいとかいうイメージなんだろう。
俺は気にしていなかったし、むしろそれでいいと思っていた。
「なんだ、なんだ、遊吾もついにこれかぁ?」
ニヤニヤしながら小指を立てて聞いてくる。
「ばか、ちげーよ」
俺は軽めに否定する。
そうだと言えば嘘になるし、そうじゃないと言っても嘘になる。
そんな気がした。
俺は知りたかった。
あのときの、あの女の子が。
この学校の生徒には間違いない。
だけど、まだ学校で見かけたことがないのだ。
今日はその女の子を探そうと思っていた。