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シルスト

第4章 他人には辛く、自分には甘い、ほろ苦い過去を持つ、スっパイです




和希が目を覚ました。
視界に入ったのは、見たことのある部屋。
和室で、耳を澄ませば忙しなく聞こえてくる人の声。


「・・・まずいな・・非常にまずい・・」


独り言を呟く。
そして、腹部にある違和感。
上半身を起こすと、その違和感の理由がよくわかった。


「・・神楽ちゃん?」


すーすーと寝息を立てている神楽。
しかし、和希が起き上がったことに気付き目を覚ましたようだ。

「和希!気付いたアルか?!」
「おはよ・・ところで、ここって――」
「新八っ!!和希が起きたアルよ」
「いや、その前に、ここってもしかして・・・」

はしゃぐ神楽を止めようとし、今現在自分がどこに居るのか確認しようとしたとき、部屋に男が入ってきた。


「もしかして、じゃねぇだろう?」
「久しぶりですねぃ」


ああ、やっぱりとてもまずい状況なのだと、和希は確信した。
隊服を着た彼らは、真選組。
数か月前まで、自分とともに職務をこなしていたのだ。
ただし、その時は自分の正体を偽っていた。
偽名を使い入隊試験を受けて見事合格した。
性別も偽っていたので、屯所での生活には苦労したが、バレずになんとかやっていた。


「和希、コイツらと知り合いアルか?」


和希は、視線を明後日の方に向けて、「知ってるような、知らないような・・」と曖昧な返事をする。
それを聞くと、沖田はポカンとした顔をし、土方と言えば慣れた手つきで煙草に火をつける。
マヨネーズライターをみるのも和希にとっては久しぶりなのだが。

「なんでぇ、その言い方」

沖田は、和希に向かってそう言う。
やはり知り合いのようだと神楽は感じたが、
和希は、それを否定したいようだった。

「お前が失踪してから、ずいぶんと探したし、調べたぜ?聞きたいことは山ほどある。取り調べに応じてもらおうか」

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