第3章 私は猫派、僕は犬派、じゃぁ貴方は何派?
消えた定春。
手掛かりは一切ない。
神楽は、まっ先に万事屋の下にあるスナックへ向かった。
「定春、どこアルかー?」
「なんだい?家賃でも払いに来たのかい?」
迎えたのは、店の主のお登勢だった。
今月の家賃はまだ払っていないが、
そんなの神楽の知ったことではなかった。
「定春がいないある」
「あのでっかい犬のことかい?」
コクリと神楽は頷いた。
そのころになって、漸く新八が追いついて店に入ってきた。
「もーう、神楽ちゃん、いきなり動くの止めようよ」
振り回される身にもなってほしいと新八は心の中で毒づいた。
しかし、定春がいないことは一大事。
なりふり構ってはいられない。
「定春がいないんです。お登勢さん、なにか知ってませんか?」
「そういえば、さっき変な奴らがでっかい犬の散歩してたけれど・・・」
「でっかい犬って・・?」
「定春ネ!!」
数時間前。
銀時や和希、神楽に新八、真選組や天人や・・
とにかく大勢でドンパチ暴れていたころ、
万事屋では、定春が留守番していた。
そこに近づく怪しい影・・・。
「余のコレクション~余のコレクション~」
そう。あの触覚のあるバカ皇子である。
定春をペット兼コレクションにしようと、本日万事屋へ訪問してきたようだ。
「ガルルルル・・」
犬歯を見せて、唸る定春。
その姿に一瞬だけびくついたが、おいしそうな食べ物を見せつける。
すると、定春は警戒はしつつもバカ皇子に近づき・・・
「余についてくるのだ。まだまだ沢山あるぞ・・・って余は食べられない食べられないからっ!!」
安心したとたん、頭から定春に食べられそうになるバカ皇子。
なんとか胃袋に入り込む前に、定春から抜け出して万事屋をあとにした。
町で血まみれになったバカ皇子と、その後ろを追う定春を何人もの人が目撃したという。
お登勢もその一人だったというわけだ。
「それじゃ、バカの所に行けばいいネ!!」
「いや、仮にもあの人皇子だから・・『バカ』って呼ぶのはやめようよ」
「新八、急ぐアルよ」
人の話をあまり聞かない神楽。
新八は溜息をついて、銀時と和希が来るのを待っていると。