• テキストサイズ

《イケメン戦国》未来から来たお姫様

第7章 義臣と疑心




光秀の居なくなった青葉城は少しの間、
とても静かに感じられた。

(本当に私が見てない内に行って
しまうなんて……
光秀様のバカッ)

挨拶も出来ないままに行ってしまった。
もう何日も前の事なのに、思い出すと
小憎たらしくて、
瑠璃は、眉間に皺を寄せて渡り回廊を
歩いていた。

「おや、瑠璃殿。
何処に行かれるのか?」
庭側から声を掛けられて見ると、
朝の鍛錬を終えたであろう小十郎が外に
立っていた。
「小十郎様。
おはようございます。
鍛錬ご苦労さまでした。
朝餉の支度が出来たので、鍛錬場へ
政宗を呼びに行く所です」
瑠璃はいつもの穏やかな微笑みで
小十郎に答える。
「瑠璃殿」
小十郎が瑠璃を真っ直ぐに見て、
硬い声で瑠璃の名を呼んだ。

その声音で瑠璃は次に小十郎が発するであろう言葉を感じ取った。

「私にはそなたがまだ分からん。
信用がおける者かどうかも。
殿は、そなたは戦の火種にはならん、
と言ったが……」

その言葉を聞いた瑠璃は、
「ごもっともかと思います」
すぐに肯定し、そして、
「しかし、私には、何か出来るほどの技量も、
後ろ盾もありません。
行く所もない私を置いてくださっている事に
感謝こそすれど、悪意など持つ理由がありません。」
そこまでを感謝の意を込めて話したあと、
「もし、それでも、私が不信で不用であれば、
何処にでも利になる所にお使いになって
頂いて構いません」
少し悲しげに、それでも毅然とした
口調で小十郎に訴える。

/ 1530ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp