第36章 戦雷落ち 戦命霧散
「家康様は、繊細だから、心配ですよ」
「おい…、俺は繊細じゃないのか」
政宗が眉を顰める。
「まぁ、まさか、政宗は自分のこと、
繊細だと思っていたの?」
大袈裟に言って、口元をそっと手で隠し、
大人の仕草で、無邪気な幼女のように瑠璃が笑う。
政宗を揶揄うも、いつも余裕の政宗が、
自分は、何とも思ってない人に対して見せた小さな嫉妬に、
瑠璃は微かな喜びと感動みたいなものを感じていた。
「まぁ、実際、思った事ないな〜」
政宗があっけらかんと、否定するから、
瑠璃はまた笑った。
家康と秀吉が帰ってくる。
織田軍の頭上を覆っていた 戦雲は
薄くなり、散切れて、再び光が射し始めていた。