第47章 (終章) 煙の消えた後
「主治医でしょ」なんて、取って付けた言い訳。
(独りじゃ、怖くて見れない。
独りだと、心が折れてしまうかもしれない…)
誰でもいい。
女性じゃなくても、
そこに居るのが政宗じゃなくても、
家康様で、男の人でも…
独りじゃないなら、構わない。
「お願いします」
もう一度頼んだ瑠璃の瞳は、凛とし、
それでも縋るような弱さが隠しきれず、
見えている。
それでも、邪な心を持つ隙も与えないほど、
厳潔とした雰囲気を醸し出していた。
「…あんたが良いんなら 別に。
俺も、傷の治り 見せてもらうよ」
家康はあえてそう付け加え、
瑠璃を不安にさせない返事をした。