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君と紡ぐ空の唄【キングダム】

第3章 早駆け①(夢主side)


手を繋がれたまま向かった先は馬屋だった。
馬屋に着くと数人の屈強そうな兵がいる。

「輪虎様!」
「明日の訓練ですが…おや?その下女は?」
何人かが話しかけてきた。

(この人達、将軍の部下?みんなすごく強そう…そして視線が痛い…)

「ん~?さっきあっちから拐ってきた。」
将軍は笑顔で返してたけどその軽さにビックリした。
「はっ?えっ…?」
全員時が止まったみたいになった次の瞬間、盛大に驚かれた。

「えええぇぇぇっっっ!!!」
「わぁぁ、凄い声…」
「あ、あの輪虎様?まさか連れて帰るおつもりですか!?」

みんな金魚みたいに口をパクパクさせていてこの人がとんでもないこと仕出かしたんだと気付いた。

「あはは!そうだよ~あ、そうだ。誰か屋敷に行って女性用の部屋を用意しておくように伝えておいて。夕方には帰るから。」

そう兵に伝えたら将軍に抱えられていつの間にか馬に乗っていた。
そして何か言ってる兵を残して走り出した。



初めて乗る馬は怖かった。想像以上に高いし揺れるし…絶対に落ちる!そればかり考えて目を瞑り必死に将軍にしがみついていた。

「ねぇ?もしかして馬に乗るの初めて?」
そう聞かれたけど余裕なんてなくて頷くのが精一杯だった。

「そっか。でもせっかくだから目を開けてごらん。勿体ないよ。」
私を抱える左手の力が僅かに強くなり、その言葉がすごく優しくて思いきってうっすらと目を開けてみた。
すると今まで見たことない速さで景色が流れている。

「わぁ…」
思わず感嘆の声を上げた。

「ね、いい景色でしょ?外に出たからもう少し飛ばすよ。」
気付くと王都の門を出ていてさらにスピードが上がった。

「ちょ……速すぎ!」
あまりに速くて正直怖かった。
「あはは、聞こえない。」
見上げるとすごく楽しそうで優しい笑顔にドキッとしてしまった。

「それ、聞こえてるよね!?」
照れ隠しもあってそう強めに言ったけど将軍は笑顔のままだった。
   
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