• テキストサイズ

【テニスの王子様】Sweet♡マネージャー

第1章 転生、始めました


私の名前は、桜川葉月。
43歳独身。
職業はパティシエール…、でした。


料理一族の本家に生まれ、青春を料理だけに捧げてやっと獲得したお店。
桜川家のスイーツの総本店『SweetDream』の料理長。

スーパーレシピメーカーと呼ばれ、ちやほやされたのが運の尽き。

子供の頃から仲の良かった幼馴染に、恋人と新作レシピを奪われたのがきっかけで、私はレシピを盗んだ当事者として晒し者に。すぐ冤罪だってわかったけど。
それでも、一度出来た悪評を挽回することは難しくて続々閉店。

こうして、家族ぐるみで付き合っていた華蓮との交友はなくなった。

『あーあ、人気が無くなってるなぁ』

閉店間際なのに売れ残っているスイーツでいっぱい。
しかも、半額や一番ひどいのは7割引までついてるのに売れてない。

店番をしてるのは…、元親友の華蓮。
そう、ここは元彼と華蓮が始めたお店。
辺りを探すけど、元彼の気配なし。

赤く腫らした目にボサボサの髪、毛穴が目立つ汚い肌。

元モデルだった綺麗な華蓮の面影は全くなし…。

気晴らしにお店に入ってみる。

カランカラン、と綺麗な音を立てるのは、彼女が得意とするお手製ガラス細工の風鈴。
赤いガラスに天使の羽を模った透明感のあるオシャレな風鈴。
物を飾るテクは人一倍あるんだよね。

華蓮「いらっしゃ…」

華蓮の作り笑いが一気に消える。

そして、大きな声を上げて、華蓮は泣き始めた。

『さっさと閉店の支度をしないと。明日の仕込みもあるでしょ』

ため息を付きながら言うけど、華蓮は泣いたまま動かない。

「騙された」だの「裏切られた」だの何を言ってるのかよくわからない。

『華蓮、泣かれても困るんだけど』

すると、華蓮は座り込んでより一層ひどく泣きだす。

断片的に聞こえるのは、「貴方なんかに私の気持ちはわからない」だと思う。

『バッカみたい。いい歳して人のレシピを盗んだ癖に悲劇のヒロイン気取りとか…』

華蓮の店を出て空を見上げる。

子供の頃は、毎日私のお店に来て私が作ったケーキを食べてた華蓮。

始めて好きになった人に精魂込めて作ったバレンタインケーキ。
を黙って「自分が作った」と偽って渡したのは他でもない華蓮。

『あーあ、人生をリセットしたい。華蓮がいない人生を送りたい』
/ 5ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp