第2章 タイムスリップ
「ほーら!早く早く!」
「そんなに急ぐ必要ないでしょ〜」
陽気な声を上げ、歩き疲れた由紀を必死に呼び掛ける少女、清香
清香たちは高校の修学旅行、京都に来ていた
2日目、自由行動の最終目的地にたどり着いたところ
「凄いなぁ、本能寺跡の石碑」
そう、そこは清香がどうしても行きたいと懇願していた場所だった
今までの巡回経路に大きく反し、集合時間に影響されてしまうため却下されていたが、床に頭を擦り付ける清香を見た由紀と同じ班の生徒は仕方なく巡回経路をリセットしたらしい
学年トップの、しかも元陸上部エースがここまでする様は流石に由紀もため息をついた
「でも、石碑でしょ?そんなに行きたかったほどなの?」
由紀にはイマイチ理解が出来なかった
だって、本当に石碑のみなのだから
「石碑と言えど、本能寺跡よ?!歴史の七不思議の1つにまつわるのだから、レアじゃない!!」
そう言って由紀の顔を至近距離で見つめた
「へ、へぇ…」
やはり呆れる由紀
「私、まだ見てたいからあそこにあるお土産屋さんでも行ってきていーよ」
清香は後方を指しながら店を指した
「そう?じゃあ後でねー」
「あーい」
(うん、やっぱりいーな…)