第4章 君と俺は同じ
丸井 Side
「美味しかったね」
そう言って微笑みながら俺に微笑みかけた。
笑ってるつもりだろうけど、全然笑えてねーからな?
というのも、コイツがそうなってる原因は紛れもなく仁王だ。
席が隣ではなかったものの、近かったので会話も聞こえてきたが、何せ仁王のことだ。
俺はのらりくらりと色々躱すのかと思ったが、案外普通に照れたりしていて。
まさかあの仁王が本当に人を好きになるとは思わなかったからビックリした。
は気にしていないかのように振舞っていたが、俺には傷ついてることがバレバレだった。
「あーもうしばらく食えねえ」
「そんなこと言って。どうせ1時間もしたら腹減った〜とか言うんでしょ?」
「おう、多分な」
「もう…」
仁王とミアは俺達が店を出る前に既に出ていた。
だけどよ、、なんであんな行列が出来る店にさ、同じ日の同じ時間にいたのか気になったりしねえか?
それがもし、偶然じゃなくて、俺が全部仕組んだことって言ったら…お前は俺を軽蔑すんのかな。
仁王に俺がを好きだって言って、協力してほしいって言ってさ、チケット渡して同じくらいの時間に来て欲しいって言ってたとしたら…お前はなんて言うんだろうな。
それで仁王は元から、お前が自分のことを好きだって分かってて、そうしてたとしたら…
お前、一体どんな顔すんのかな。
傷付くのは分かっているのに、そんなことを考えてしまうのも、わざとアイツが傷付いて俺を見てくれるように仕向けるのも、俺は罪悪感なんて感じない。
アイツが俺を見てくれたら、それでいいか、って。
そう思うのは、おかしいんだろうな。