第3章 どうしようもなく
「これ、行かね?」
「え?」
丸井が差し出して来たのは、
今行列が出来るほど人気なお店のチケット。
スイーツ食べ放題に加えてパスタやパンなどがあるだけでなく、全ての味が最高に美味しくて三ツ星獲得の経験があるお店から派遣されてきたシェフばかりがいるお店。
「え!?これ…なんで!?」
「弟が彼女の家行った時に年齢がまだ満たしてなくて行けねえからって彼女の親がくれたらしいぜ」
「え?は…え?弟くん…そんな歳だっけ?」
「いや?まだ8歳だけど。最近の小学生ってこえーよな。簡単に結婚とか言ってんだよ。」
8歳で彼女が出来る丸井の弟ってすごすぎる。
私は見たことないけど、丸井の弟ってぐらいだから、きっと顔はすごく整ってるんだろうなあ。
「でも、これ…いいの?すごく人気なのに…」
「へーきだって。実は2枚あんだよ」
ほれ、と言いながらチケットの下に隠れていたもう1枚のチケットが顔をだした。
定価は2000円ほどだが、その人気ぶりがとにかくすごくて、プレミアがついているらしい。
「やった!いつ行く?」
「実はこれよ、来月までなんだよな。期限が」
「あれ?そうなんだ」
「だから来週は部活ねーし、行こうぜ」
「うん!」
丸井は、なんだかんだで1番私が仲の良い友達だと思う。
仁王は全然仲良くなかったけど、
丸井は1年の時から同じクラスで仲が良かった。
だから同じテニス部ってこともあって丸井が私と仁王が話せるように場所をセッティングしてくれていたことも何度かある。