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【NARUTO】他。短編集

第13章 三角関係(暁)サソリ


わなわな震えながら、何度も穴が空くほど、細長い紙を私は見た。

「だ……、だい、きょう……!?」

今日は暁のみんなで神社へ初詣に来ている。もちろん袴や着物姿で。

新年のご挨拶、そして、一年を占おうと、クジ引きをしたのに、とんでもないものを引いてしまった。

「げぇ! お前大凶かよ! ヤバ過ぎじゃねーの? オイラはまだマシだぜ? 凶だ、うん!」

面白がって覗くデイダラに、キッと横目で怒った。

「ちょっとぉ、見ないでよ、もう!」

すると、クジを引いたトビが、
私達の方へ近寄ってくる。

「……デイダラ先輩も大概っスよ? ボク中吉ですし。2人とも今年は運がないっスね」

ひらひらと紙を、からかうように
デイダラの顔の前で見せた。

「あぁ"あ"!? トビのくせに、オイラより良いクジ引いてんじゃねーよ、うん」

イタチと鬼鮫も
クジを見ながら寄ってくる。

「鬼鮫、ほう、大吉か。幸先良いな」
「イタチさんも大吉ですか。日頃の行いが良いからでしょうね、私たちは」

鬼鮫は不敵に笑った。

「チッ、んなの関係ねーよ、運だ、運! うん! つーか、なんでイタチが大吉なんだよ、胸糞悪ィな、うん!」

「デイダラ、貴様、凶らしいな、気をつけろよ」
「ぁあ"あ?」

デイダラは苛つくのか、なぜか関係ない
私の頭をベシベシベシベシと叩く。

「花奏はいつまで見てんだ。 しつけーな、ホラ行くぞ、うん」

腕をぐいっと引っ張り、
境内の木の方へ連行された。

クジを黙って結ぶ私に、
デイダラがジィっと顔を覗き込む。

「花奏、気にすんなって。たまたまだろ、うん」
「あ、そうだよね!だよね!あははは、デイダラ、ありがとう」


〈恋愛 諦めなさい〉

大凶の紙に書いていた文字だ。
強烈に胸へ突き刺さるよ。
ほんとうに容赦ない文章だ。

「…………」
私は首を小さく左右に振った。


何年も片想いをしている。
報われない恋だと分かっている。
何回もフラれてるんだから。
それでも私は止める気なんて、さらさら なかった。

「……絶対…諦めない」

小さく呟いた私の顔は、
たぶん醜く歪んだ顔だっただろう。


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