第4章 入団式
兵長の言葉で俯いた顔を前に向けると、そこには先程私が撫でていた馬が、気持ち良さそうに兵長に撫でられていた。
ただの偶然に過ぎないだろうが、素直に嬉しくなった私は馬の首元を軽く抱き締めながらたてがみを優しく撫でる。
「ふふ、宜しくね。」
「早く済ませるぞ。さっさとしねぇと憲兵の奴らがうるせぇからな。」
「はい!」
20分程経ち、馬の世話が終わったリヴァイ班は急いで旧調査兵団本部へ向かった。
向かう途中、オルオさんが舌を噛んだのは言うまでもない。
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「オルオさん、ハンカチ濡らしてきたので使って下さい。」
何日間滞在するか分からない為、荷物も沢山持って来た。ハンカチもタオルも何枚かある。
「お、おう…。さっきはすまねぇな…。」
「い、いえ!私もびっくりしてしまって…すいませんでした。」
「そ、その…好きなヤツとか」「オルオ!」
ペトラさんが言葉を遮り、オルオさんの頭をポカッと殴る。
「いくら可愛いからって何言ってるの?ななだってこんなのが先輩だったらこの先ずっと迷惑するんだよ!大体、いつもの兵長の真似はどこに行ったのよ。」
「う、うるせぇ!お前は俺の女か!」
「は、はは…。」
苦笑いしながら二人の軽い口喧嘩を聞いていると、エレンが私に話し掛けてきた。
「なな、ちょっといいか…?」
その瞬間、ペトラさん達の口喧嘩が止まる。
「うん。」
二人は巨人化出来るエレンの事を少し警戒しているようにも見えた。
少し離れた場所にエレンと向かう。
「その…俺が巨人化したって…もう知ってんだよな?」
俯いた状態でエレンが私に問い掛けて来る。
「うん、団長から聞いたよ。」
「ひ、引くよな!こんなんが友達なんかっ…。」
エレンは何を言ってるんだろう。
「…何言ってるの?そんな訳ないじゃん!!」
少し離れていても聞こえていたのか、リヴァイ班皆の視線が集まる。
「はっ…?」
エレンがビックリした様子で顔を上げた。
「私はエレンが何になろうが関係無い!周りがどう思おうが勝手だけど、私はエレンとずっと友達だよ!」