第3章 子守唄
それからというもの、あっという間に数ヶ月が過ぎた。
順調に新しい男士も増え、あんなにも静かだった本丸はすっかり賑やかになった。
変わらないのは、ユキの無表情だけだろう。
彼女の近侍は退屈そうに声をかけた。
鶴丸「君の表情は本当に変わらないなぁ」
「…そうかしら」
鶴丸「そうとも。いつか絶対、俺の最っ高の驚きで笑わせてみせるからな!」
「そう。楽しみにしているわ」
鶴丸「全然楽しみにしている気がしないのは俺だけかい?」
「失礼な神様ね。いいからちゃんと仕事して」
鶴丸「はいはい。しっかし、刀剣達も増えたな。あといないのは光忠以外の長船派と、静形、大包平だけだろう?」
名簿をペラペラとめくりながら、感心したように呟く。
手を動かしながら、ユキは答える。
「そうね。特に、大包平は次の連隊戦で必ず連れ帰ってもらわないと…」
鶴丸「鶯丸が、俺も部隊に参加したいと言っていたぞ」
「ダメに決まってるじゃない。あの子はまだ練度が足りない。怪我をするとわかっているのに参戦させるなんて出来ないわ」
鶴丸「それ、直接言ってやればいいのに」