第3章 まさかの
目を覚ますと、白い空間はそこにはなく、見覚えがない可愛い、女の子、って感じの部屋。
私の必要最低限の家具と壁一面に貼られたポスター部屋とは、全然違う。
「…本当に?叶ったの?」
声も違う。
男みたいな低い声じゃなくて、可愛い声。
「…え!?」
鏡を見ると、誰がどう見ても美少女、の顔。
しかも美少女の中でもとびきりだ。
昔みたいにボサボサのショートヘアーではなく、胸の上あたりで綺麗に揃えられたストレートの茶髪。
昔みたいにろくにスキンケアもしてないきたない肌じゃなくて、色白で、綺麗な肌。
目もぱっちりとした二重、長いまつげにぷっくりとした唇。
どこをどうとっても美少女で、昔の私とは似ても似つかない。
「…本当に、叶ったの?」
部屋に戻り、クローゼットを開けると、私が恋焦がれてきた立海の制服にテニス部のジャージ。
生徒手帳には、以前と変わらない と書かれているが、字も綺麗で顔も綺麗。
本当に…これが私なの?
「あら、おはよう、。ご飯食べちゃいなさい」
「あ…お、おはよう、お母さん」
「ほらほら、早く。朝練がないからサキちゃんと今日は学校久々にに行けるってあんなに昨日はしゃいでたじゃない。」
「…サキ?」
「ほら、遅刻するわよ」
「ほんとだ!行ってきます!!!」
「行ってらっしゃい」
ドアを開けると、鏡に映った自分とは差があるが、美少女に類されるであろうボブヘアの女の子がいた。
そういえば、この世界の私の母親もとても美しくびっくりしてしまった。
「遅いよ!」
「ご、ごめん。サキ」
「まあ、いいけど。早く行くよ」
「うん」