• テキストサイズ

【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第5章 若菜色 - wakanairo -





「…お願いします。私に作らせて。」



何もしないのは嫌なんです…、

そう頼み込むと、渋々といった感じで私を台所に立たせてくれる。それでも、心配そうに手元を覗き込んでくるから、苦笑してしまった。

私はそんなに何もできないように見えるかなあ…。

これでも大学時代から一人暮らしをしてるから、それなりに料理はできるほうだと思う。





「…何でこんなに山椒ばっかり、」





それでもこの時代の調味料や、食材は現代と違うだろうと思って戸棚を開くと、ずらっと並べられた小瓶にすべて山椒が入っていて驚く。

私が唖然とするのを見て、

女中さん達が苦笑いしながら、家康様がお好きなのですと教えてくれた。何にでもかけようとなさるから、事前に辛味を増して作るのだというから、開いた口が塞がらない。



「…それにしても多くないですか、」
「ふふ、これもすぐに無くなるのですよ。」
「へえ、」



すっごく体に悪そう。

だけど私も辛い料理は嫌いじゃない。この時代に唐辛子があったら家康様の大好物になってただろうな。韓国料理や中華料理、スパイスとかも好きかもしれない…。なんて、もう食べられないかもしれない現代の料理を思い起こしてみる。

…あ、



「あの、麺ってありますか…?」
「麺…ですか?」
「うどんとか、…えっと小麦粉や米粉をこねたもの、」
「ああ、こちらの棚に御座いますよ。」
「ありがとう。」



棚の中を確認して、これなら作れると思った。

全く同じとはいかないだろうけど、担々麺のようなものならこの時代でも作れるかもしれない。山椒を見て、辛いの食べたくなっちゃったし。

女中さん達が興味深そうに観察してくるから緊張するけど、試行錯誤して、似たような味を作り出す。



/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp