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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第16章 葡萄色 - ebiiro -


〔 家康目線 〕



顕如の根城を囲み野に打って出てきた敵を前に、


「ほう、籠城はせず捨て身で戦うつもりらしいな。ようやく本能寺での借りを返せる。」


馬上で手綱を片手に持ちかえると、信長様はすらりと刀を抜いた。すぐその横に馬を並べて前を見据える。




「まさかご自身で先陣を切るおつもりですか?」

「当然だ。顕如が狙うのは俺の首一つ。この首をさらしやつを引きずり出し、俺の手で引導を渡してやる。」

「相変わらずめちゃくちゃですね、信長様。大将自ら敵陣に飛び込むなんて。」

「そういう貴様も前に出るつもりじゃないのか、家康。」
「…当たり前でしょう。」




柄を手にかけ、軍勢を見渡すと、距離を置いていつ仕掛けようかと伺う敵軍の中には、確かに見覚えのある顔が混じっていた。

今川の奴らが、これだけの数、落ち延びていたとは思わなかった。

俺自身の手で、カタをつける。




「これは、俺の因縁を断ち切る戦いでもありますから。」
「俺たちの、の間違いだろう。あやつらがしいたげてきた貴様が、どんな男に育ったか、…存分に知らしめろ。」
「言われるまでもないですよ。」




俺の顔を見て信長様はにやりと笑った。

後ろから政宗さんと光秀さんがやってきて、鋭く前を見渡したまま、話しかけてくる。





「お前の事情は分かるが、ぼやぼやしてたら獲物は俺がかっさらうぞ。元は俺と光秀がおってた獲物だ。手柄を立てられなくても文句は言うなよ?」

「今回ばっかりは、あんたが相手でも譲りません。」

「勇ましいことだな。では、俺は後衛を守るとするか。三成、お前も手を貸せ。」

「はい。全力を尽くします。安土城で城を守っておられる秀吉様の代わりには、ほど遠いですが。」

「今頃、秀吉は、出陣したくてうずうずしてるとこだろうな。」

「構わん、俺の居城を任せておけるのはあ奴くらいのものだからな。」

「それ、帰ったら本人に言ってあげてくださいよ。」




ここにいない秀吉さんの事を思い出しながら、肩をすくめたとき上杉軍の将も最前線に姿を現した。白馬にまたがった上杉謙信は既に刀を抜き放っている。



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