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大切な物をタイセツに【進撃の巨人】

第9章 想いの方向


リヴァイside

ユナを探して見つけた時には、意識はなく、ぐったりとしていた。

すぐに抱えて、来た道を戻る。

「・・・頼む。しっかりしてくれよ・・・。」

ちょっと前から様子が疲れていた。

どうしてもっと注意してやれなかったのか、俺は自分を責めた。



それから丸2日、ユナは目を覚まさなかった。



体は熱く、まだかなり熱がある。

呼吸も荒く 、苦しそうにしていた。

「ユナ・・・早く目を覚ませ・・・。」

俺はユナの手を握りしめた。




洗面器の水をかえるために部屋を出ると、ファーランが椅子に座って俯いていた。

「・・・すまない、リヴァイ。俺のせいなんだ。俺が一緒に行っていれば・・・。」

「よせ、ファーラン。お前のせいじゃない。俺もユナの状態を把握してなかった。自分を責めるな。」

ひどく落ち込んだ様子のファーランの肩に手を置く。

「きっとユナは大丈夫だ。そう信じろ。」

俺は、自分に言い聞かせるように言った。





ユナの元へ戻り、椅子に座りユナの手を握る。

(こんな地下街じゃなく、地上のまともな医療を受けられれば、こんなに苦しまなかったかもしれねぇな)

ふと、そんなことを思った。

この地下街では、医者はいるものの、診療には高い金が必要だ。

そしてやはり、設備が整っていないため、きちんとした治療は難しい。

この先も、ユナは苦しんでいかなきゃならないのかと思うと、なんとも言えないもどかしさが込み上げてくる。

「俺が、かわってやれりゃ・・・」

俺は、握っていたユナの手を、優しく両手で包み込んだ。







手に柔らかさを感じて、ハッと目が覚めた。

俺は寝てしまっていたようだった。

体を起こすと、ユナがこちらを見て小さく微笑んでいた。

「っ!・・・気がついたか、ユナ!」

この時、俺は心の底から安堵した。




その後は、丸2日も飲まず食わずだったため、水を飲ませた。

汗を拭き、着替えを手伝い、りんごをすりつぶしたものを食べさせた。

体力を消耗しているユナは、腕を動かすのもつらそうだったが、どうにかベッドに体を起こしてられるくらいにまで回復した。






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