第5章 出会い
そんなユナの洗面所での奇妙な行動を、リヴァイは見て固まっていた。
(変な奴だ・・・。昨日はあんなに泣いてたのに)
(でも、昨日泣いたのは俺のせいなのか?いや・・・親が死んで泣いたのか、どっちだ?)
少年リヴァイはユナのことが気にかかるようになっていた。
というのも、
ケニーが急に連れて来た少女・・・
「今日からユナもここに住む。お前が面倒見てやれ。こいつも親はいない。お前と同じだ。行く所もなけりゃ、家族もいねえ。同じ境遇同士、助け合っていけたら・・・なんてな。ま、これは俺の単なる願望だ。ここでの生活について一通りのことは教えておくさ。あとはリヴァイ、お前に任せるぜ。」
ケニーはあの夜、ユナを抱きかかえて来るなり、ソファーに寝かせて、リヴァイにそう話をした。
その後、ユナとは家の中で顔を合わせたり、廊下ですれ違うことは何度もあり、その度にユナから『おはよう!リヴァイ。』『ねぇリヴァイ、どこ行くの?』『おやすみ、リヴァイ。』と声を掛けられるが、これまで歳の近い、しかも異性と普通に会話をしたことがないリヴァイはどう返答していいのかわからず、戸惑っていた。
その結果、無視している状態になってしまっていた。
「はぁ・・・めんどくせぇ。」
思い返して呟いた。
(あ・・・)
そして、ふと口から出てしまった言葉に後悔した。
なぜなら、洗面所で鏡を見ていたユナがリヴァイの声を聞いて、こちらを振り向いていたから。
鏡を背にしてリヴァイの方を向いたユナは、目が真っ赤に腫れていたが、みるみるうちに顔も赤くなっていく。
『ご、ごめんなさい!邪魔してすみません。今、よけます!』
そう言って、バタバタとリヴァイの横を小走りで通り過ぎようとしたユナの腕を、リヴァイは引き止めた。
「いや・・・別に邪魔とは思ってない。まだ終わってないなら最後まで使えばいい。俺はいつでも構わねぇし。それに・・・お前に言ったんじゃない。」
リヴァイは少しばつの悪い顔で、視線を反らしてユナに言った。