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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第6章 姫巫女と入学式


「変だな……どこか立入禁止の場所があれな、必ず理由を説明してくれるのに。森には危険な動物もたくさんいるし、それは誰でも知ってる」

 パーシーの独り言を聞いて、シオンもますます分からなくなった。

 だったら、なぜダンブルドアはあんな注意の仕方を選んだのだろう。
 あんな言い方をするくらいなら、『近づいてはいけない』と一言 言った方が良かったのではないだろうか。

 監督生にだけは理由を教えてくれれば良かったのに。
 そんなパーシーの言葉が耳に届くはずもなく、ダンブルドアは声を張り上げた。

「では、寝る前に校歌をうたいましょう!」

 校長の言葉に、教師たちの顔が強張る。
 気のせいだろうか――しかし、その強張った表情の意味は、すぐに分かった。

 ダンブルドアが振るった杖先から、キラキラと黄金の文字が空中に刻まれる。
 どうやら、刻まれた文字は校歌の歌詞のようだが、入学して数時間も経たない新入生に歌えるわけもない。

 だが、ダンブルドアは「みんなの好きなメロディーで!」ととんでもないことを言い出した。
 校長の掛け声に、上級生たちは一斉に歌い出す。


 ――ホグワーツ ホグワーツ
   ホグホグ ワツワツ ホグワーツ


 バラバラのメロディーは、おおよそ歌とは呼べないものだった。

 音程が違えば、歌い終わりが違うのも当然で。

 葬送行進曲の音程で歌っていたらしい双子のウィーズリー兄弟が最後に歌い終えると、魔法の杖を指揮棒のように振っていたダンブルドアが、大きな拍手をした。

「あぁ、音楽とは何にも勝る魔法じゃ!」

 ダンブルドアが感極まったように涙を拭う姿に、シオンの中の偉大な魔法使い像にヒビが入る。

 少なくとも、あの歌に心が動かされることはなかった。
 もしかしたら自分は、歌という言葉が持つ意味について考え直した方がいいのだろうか。

「さぁ、諸君。就寝時間、駆け足!」

 こうして、入学式を含めた歓迎会は幕を閉じた。
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