• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第6章 姫巫女と入学式


 マクゴナガルは上座のテーブルまで新入生を引率し、上級生たちに身体を向けさせ、教師たちには背を向ける格好で一列に並ばせた。

 自分たちを見つめるたくさんの目に、シオンの身体が再び緊張に強張った。
 その中に、銀色の霧のようにゴーストが光っているのが見える。

「シオン、上見て、上」

「え……上?」

 ハリーに促されて天井を見上げると、シオンは大きな瞳が零れそうなほどに目を見開いた。
 そこには天井ではなく、美しい星々を瞬かせる雄大な夜空が広がっている。

 否――これは魔法だろうか。

「本当の空に見えるように魔法が掛けられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」

 そう話しているハーマイオニーの言葉が聞こえた。

「魔法……これが……」

 そこに天井があるなんて信じられない。
 この場が室内であることの方が不自然で、今にも夜風が吹き抜けそうだ。

 天井の夜空に見惚れていると、マクゴナガルが新入生の前に、四本足の背もたれのない小さな椅子を静かに置いた。
 視線を戻せば、椅子の上に魔法使いが被るようなとんがり帽子が乗せられる。

 帽子はツギハギだらけのボロボロで、年季の入った品物のように見えた。
 新入生たちが見つめる中、帽子がビクビクと動き、ツバの縁(へり)の破れ目が口のように開いて、帽子が歌い出す。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp