• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第18章 姫巫女と禁じられた森


「力を取り戻すために長い間待っていたのが誰か、思い浮かばないのですか?」

 考え込む二人に、フィレンツェは答えを導くヒントを与える。
 命にしがみついて機会を窺っていたのは誰か――……。

「ま、まさか……!」

 この魔法界に来て、幾度となく聞いた名前――死んだと思われていた人物。
 ハリー・ポッターと強い縁を持つ人物だ。

 ハリーも同じ答えに辿り着いたらしく、驚愕に瞳を開いて呟く。

「それじゃあ……僕たちが見たのは、ヴォル……」

 その名をハリーが最後まで言うより早く、道の向こう側からハーマイオニーとハグリッドがやって来た。

「ハリー、シオン! あなたたち、大丈夫なの?」

 二人で顔を見合わせると、ハリーが「うん、大丈夫だよ」と答える。
 マルフォイとネビルは、森の外でファングと待たせているらしい。

「おい、シオン。そのユニコーンはどうした?」

 驚いた声音で尋ねるハグリッドに、ハリーとシオンはそれぞれ地面に降りた。

「シオンが、襲われて死にかけていたこのユニコーンを助けたんだ」

「ほう! そいつは驚いた!」

「シオン。あなた、もうそんなすごい魔法を使えるの⁉」

「ま、魔法っていうか……」

 薬師如来の秘術は、厳密には魔法とは違う。
 魔法は奇跡のようなものだが、真言は御仏に頼んで力を借り、加護を授かるのだ。
 しかし、そんなことを言っても難しいだろう。

「ここで別れましょう。君たちはもう安全だ」

「ありがとう、フィレンツェ」

「ありがとうございます、フィレンツェさん」

 ハリーと揃って礼を言うと、ユニコーンも甘えるようにすり寄って来た。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp