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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第15章 姫巫女と大祓儀式


「え、何ですの? や、やめ……ちょっと、どこを触っているんですか! し、シオンさま! 助け……きゃっ! きゃ――――ッ!」

 やがて、彼らはヒマワリを担ぎ上げ、もの凄い勢いで去って行った。
 その勢いに顔を覆ったシオンが恐る恐る大きな黒い瞳を開けると、部屋には自分と父しか残っていない。

「ほどほどにな」

『御意!』

 一度戻って来たたぬきが手を挙げ、再びドタドタと足音を立てて去って行く。
 数秒の沈黙後、当主はシオンへ視線を戻した。

「学校は楽しそうだな」

「は、はい」

「友もできたか」

「はい……」

「勉強もしているか」

「はい」

 肩を小さくして、シオンは緊張した心を抱えながら、固い声音で返事を繰り返す。
 すると、当主はその表情を優しく和らげ、微かに目尻を下げた。

「良かったな」

 その表情はほんの小さな変化で、ともすれば見落としてしまいそうなもの。
 不器用な父の笑みが、シオンは好きだった。

「は……はい!」

 先ほどよりも大きな声で返事をして、シオンはサッと口元を隠す。
 しかし、それはもう遅かった。

「ハリー・ポッターは……どうだ?」

「は、ハリーは……」

 そこまで言って、シオンは「あ」と声を上げて言い直す。

「え、えっと……ハリー・ポッターは、その……何者かに狙われているようです。たぶん、学校側に……『闇の陣営』に関わる人間がいるんじゃないかって……」

「そう、お前の占に出たか?」

「い、いえ……っ、そこまでは……」

 ただ、とシオンは続けた。
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