• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第15章 姫巫女と大祓儀式


 気がつけば、二人は母屋の玄関まで来ていた。
 無我夢中で走ったために、シオンの息は切れてしまっている。

 ヒマワリの手を離し、シオンは軽く息を整え、ヒマワリを振り返った。
 彼女も、胸に手を当てて呼吸を整える。

「シオンさまったら、どうしましたの?」

「どうって……だって、あの人たちがヒマワリのこと……!」

 そこまで言いかけて、シオンは言葉を呑み込んだ。
 ヒマワリが、まるでシオンの言うことが理解できないと、首を傾げたからだ。

 彼女だって、聞こえなかったはずはない。
 彼らはこれ見よがしに、ヒマワリにも聞こえるようにして言っていたのだから。

 龍宮の、本家に近い人間は特に、選民意識が強い。
 そして今回、ホグワーツへ入学できたのはシオンとヒマワリだけだった。

 年々、入学できる人間は減り、とうとうたったの二人だけ。
 それほどまでに、龍宮の人間の霊力――魔力は弱まっているのだ。

 しかし、だからといって、そのことへの不安や妬みを、ヒマワリへぶつけることを許せるわけがない。


 ――よわむし……結局、わたし、何も変わってない……。


「シオンさま……?」

 黙ってしまったシオンを、ヒマワリが不安そうに呼んだ。
 シオンは内心で首を振り、自分の中で渦巻く様々な感情を無理やり追い払う。

「な……何でも、ない! 行こ、ヒマワリ。父上が待ってる」

 そう言って、シオンは母屋の玄関を叩いた。

* * *

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp