第9章 ウチの名探偵
その後は江戸川さんの華麗なる名推理を聞いていた…相変わらず凄い観察眼…。
主「そろそろ戻ろうかな…国木田さん煩いだろうし…。」
太「そうだね、帰ろうか。」
江「僕は駄菓子屋さん寄っていくから。2人は先に帰っておいてー!」
太/主「「了解。」」
僕達は2人で社に向かった…勿論中島さんは江戸川さんに連れられて駄菓子屋へ行っている。
二人きりになれるのが何故か嬉しい…。
主「兄さん、今日は何処まで分かっていたの…?」
太「犯人は大体分かっていたよ。その証拠の幾つかもね…。劉娥は?」
主「僕もそれくらい…あの時計、いいものだったね。」
女性が付けるものにしては高価すぎる…贈り物としか思えない。
探偵社に戻った途端に国木田さんからのお説教…。
矢張り煩い…頭が、クラクラする。
国「おい、聞いているのかミニ包帯!?」
主「はぃ…聞こえて、います…。」
駄目だ…此処で倒れたらいけない…迷惑を、かけてしまうから。
太「国木田くん、お説教中に悪いんだけど…劉娥借りるよ。」
僕は無理やり医務室に連れていかれた…駄目だ、バレた。
主「ごめん、兄さん…。」
太「何のことで謝っているんだい?別に劉娥は悪くないよ?」
驚いた…嘘をついたのに…怒られるかと思った。
主「兄さん…心配してくれたんでしょ?」
兄さんに心配はかけさせたくない。
僕がしっかりしなければならないんだ。
太「心配はするさ、兄弟だしね。それよりも劉娥の体調の方が心配だ…。何か最近悩み事があったんだろう?表情が固いよ。」
そう言って兄さんは僕を横にしてくれた。
太「却説…私は徐々戻るとしよう。」
咄嗟に兄さんの外套の裾を掴んでしまった…。
太「如何かしたかい?」
主「独りに…しないで…まだ、ここに…いて?」
急激な睡魔に襲われ、僕は目を閉じた。
太「何故私の弟はこんなにも可愛らしいことをしてくれるのだろうね?」
限界になって意識を手放した時、微かに額に温もりを感じた。