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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第2章 グレースケールではないモノクローム


数日後。
大学の講義を終えた守道が、いつもたむろしているクラブ棟へ顔を出すと、写真部の部室から賑やかな声が聞こえてきた。
「何してるんだ?」
「よぅ、守道。今度の土曜日にフィルムカメラを使った撮影・現像会をやるから、機材と備品のチェックさ」
趣味のテーブルトークゲームサークルの仲間でもあるその写真部員に手招きされ、守道は室内に入るとフィルムカメラの一群を眺める。
「おいおい、マニア垂涎モノのラインナップかよ?コレなんか、モスクワオリンピックの年に記念発売されたソ連製のカメラじゃねぇか。うわ、持って帰りてぇ…」
「ダメだって。我が国の歴史を語る貴重な資料でもあるんだから」
懐にカメラを入れるフリをする守道を笑いながら制したその部員は、「守道も参加しないか?」と勧誘してきた。
普段はユーリとの日本語レッスンをしている事が多いが、丁度次の週末は、ユーリがスポンサー先で撮影の仕事があり空いていたので、守道は彼に承諾の返事をする。
「詳細は追って連絡するよ」という彼の言葉を聞いていた守道だったが、ふと脳裏に何かが閃くと、次のように言った。
「他に誘いたい奴がいるんだけど、良いか?」

「技術については言う事はないですが…もう少し振りの1つ1つに遊びがあっても良いですね」
プログラムの合わせをするオタベックは、振付師の言葉に眉根を寄せた。
「…遊び?」
「ハンドルの遊びのようなものです。今の貴方は、要素を完璧にこなそうという気持ちが強すぎて、それが足りない」
練習の録画映像を振付師に見せられたオタベックは、新しい振付を始めたばかりとはいえ、表情も所作もぎこちない事を思い知らされる。
もっと自然に動けないものだろうか、と考えるオタベックの頭の中で、不意に先日の出来事が浮かんできた。
あの時守道に撮られた写真の自分は、驚くほど自然体だったからだ。
(俺は、あんな表情も出来たのか…それとも、あの男の撮影技術の所為か…?)
その時、リンクを出て小休止をしているオタベックのスマホのバイブ音が鳴った。
上着のポケットからスマホを取り出し確認すると、思わぬ人物からメッセージが届いており、オタベックは目を丸くさせた。
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